雪で思い出すこと

〜あれは3年前、止めるあなた駅に残し〜ではなく、あれは確かに3年前、現在の愛車を購入後間もない頃。一番寒い2月に何度も山中湖周遊に行っていた。ある朝、天気予報もいつものように晴れマーク、当時の調子では何の問題もない山中湖周遊錬200キロコ−スへ出発。R20を淡々と走り、河口湖方面へ左折。いつものように真っ白の秀麗な富士が正面に見え出す。「いいねーこれだから冬の走りはやめられないな」などとひとりごとを交えつつ登っていた。
 ただちょっと気になったのはいくらか雲がかかり始めていること、とそのうちにパラパラと何か降ってくる。このときはまだ「まさか雨じゃないよな」と一人冗談を言う余裕があった。だが、いくらん何でもこの厳冬期の標高1000メートルで雨や 雪に濡れて下り続けることは危険だな、と対策を考えた。山中 湖先の山伏峠まであと40キロここまではほぼ登りなので、雪 なら寒さは大丈夫、そこからの長い下りはかなり厳しいが道志 の温泉につかるまでの所要時間は20分、何とか耐えられだろ うと。もちろん輪行は頭にないので、あとはR20を戻るという無 難だが面白くない選択があっただけなので方針決定だ。
 まだパラパラ程度の小雨、もう少し登ればまもなく雪に変わる はずだ。山伏峠までは体を冷やしたくないのでウエアとペースを慎重に計算しつつ走る。しかしこの全く予報にも予想にもなかった雨や止むなしとしても、例年より暖かい気温のことをよく考えるべきだった。まずこの時期の山中湖で「雨」はありり得ず、降れば「雪」なのだが、今年も今日も暖かいのだ。登っても雪にかわらない雨に、さきほどまでの余裕の笑みが消えた。心身ともに。路面も完全に濡れてきたこともあり、登りでも冷えてきた。山中湖にある温度掲示板はたしか−1℃だったか。寒い、足先もシューズカバーの下からの跳ね上げで完全に濡れてしまったうえ、下りでしかきないはずの最後の防寒着である薄手ウインドブレーカーを着るしかない。富士山が最も美しく眺められるはずのポイントで・・・。更に悪条件が追い討ちをかける。ようやく雨から小雪に変わったのはいいが、わずか2分でもいったん止まってからの走り出しで凍えはじめ、ようやく山伏峠への短い登りに差し掛かると降った雪がシャーベト状と凍結しかかる間のような状態でまともにグリップしないのだ。のぼりで気休めでも体が温まるかと思っていた希望も途絶え、恐る恐るの走りと、危険なかしょでは降りて押したり・・。これでどうやってあの下りを走れというのだろう。「雪の山伏峠、無謀なサイクリスト遭難」山梨日日新聞道志村版片隅にのる記事の見出しがチラッと頭をよぎった。ついに到着した山伏峠、こちら側からは長い下りに備え必ず止まりキャップやアーム、ウインドブレーカーなどのアイテムを、どれが一番いいかなと楽しみながら装着するポイントでもあるののだ。が・・・。何もない、凍えきり寒さで身震いがするのに着るものがもう何もない。。。