第一回「ツールド奥乗鞍」の前日/愛車と過ごす優雅(で)な(い)休日

「高速渋滞前に出発し、午前中には現地に入り走っていま す」などと宣言をしていたことなどすっかり忘れていた私は、 天気予報が悪いこともあり恒例の遅出となる。愛車2号に、愛 車1号とともに積込まれて出発。

私が前席、1号さんが後部座 席だったのでよかったな。自宅近辺の高速道路はすでに30キ ロほどの渋滞となっているので、いつもなら高速に平行した国
道を走るところだ。が、なぜか今日は出発する前から嫌な予感 がする。

愛車2号さんは目的地到着後は留守番役、2,3年前 までのように山頂アタックをしたり県境の峠を攻めるなどとい
うことができないことを知っているようだ。1号さんだけにツーリングを楽しませるのは許せないわ、ということでしょうか
、気がつく進行方向が30度ほど傾いている。
これはもしや愛車1号さんと私との「水いらず道」(でものどが乾くのでボトルの水を飲みます)(1号さんが言うには「ルートドランデブー」だそうです)を進んでいるではないか。このまま行くと梅 の季節の立ち寄りポイント、ベアデブランコへ寄るつもりかと なぜかドキドキしてしまった。
  が2号さんももう大人(どういう意味だかわかりません・ ・)、山伏が修行をしたという日本情緒あふれる峠へと快走し ていくではないか。
ドイツ風のエンジン、外見はヨーロッパの街並みに自然に溶け込む、ということらしいがやはり純和風産なのだ。
土砂降りの雨で一休み。さらに進むこの方向は・・。
昨年夏に反対側から通ったあの峠を今度はこちらから攻めようというのか。まあどちらにせよ今日は、1号さんはお休み、私も夕方までに到着すればいいと諦めているのでここは好きなようにさせてあげよう。
1人だけおやきなどを食べてしまったからか、どっと眠気がおそってきた。いやがらせをするわけではないが恐竜の寝床で少し休ませてもらう。
その後そう見ても場違いな幅広い道路から少しずつ1.5車線ほどの、それらしい狭い峠道へと進んでいく。

  実は今度1号さんとこっそり来ようと思っているので、のぼり勾配やトラブル時の対応可否や区間距離などをチェックしつつ、ふと2号さんとならそういう心配がなくて便利なんだな ・・と密かに思う。
ただし2号さんはやや肥満気味なので(1号さん比、そんな比較はしないでね!)こういう道では対向車はもちろん、前後の車に十分注意をしておかなければいけない。
遅い車が前に見えてきた際は、抜ける車かどうか、どこで抜けそうか。早い車が迫ってきた際は逆の立場で・・。
最悪なのは抜けない遅い車に前をふさがれ、後にも遅い車につかれるパターンだ。こうなると対向車すれ違いで非常にイライラさせらること間違いなし、精神修養をつみたい以外は避けたい状況だ。

さすがに2号さん、このあたりの要領はいいので、安心してまかせておける(ここらで少し誉めておかないとね。。)
  ようやくピークを越えとと思ったのもつかの間、疲れをしらない2号さんは再び2000メートル級峠へ上り始める。
これではまるで平坦区間のないツールドフランス山岳ステージだ 。
ここは1号さんが生まれるより前に「0号さん?」と始めて出場したレースコースでもあり、私も好きな峠なので大人しく付き合う。(って付き合わない、といったところでどうなる?)。

のぼりコーナーを快走しクリアーしていく1号さんのなかで、こちらは勾配と標高表示を見ながらあのときはこの辺がきつかったなー、とかあれはいつだったかなーと回想を。
峠の下 りではつい油断したのか、法定速度を下回るような(通常考えられないような)スピードで下っていく前走車に続々と後続がつまる、というブロックにあいしばし精神修養をしいられる。後部座席で誰かが「私ならこんなトロイ車なんか・・」と鼻に抜けるような声でつぶやいているような気がした。単なる気のせいだったろうか。
  
下りきったあたりで、このうっぷんを晴らすつもりか、「女神が住む」というルートへ突入しそうな勢いの2号さんに、時計を示し集合予定時間よりかなり遅れそうなことを伝えてようやく主要国道経由の進路をとってもらう。

それにしてもここ までで疲労困ぱい気味、これでは明日の本番に支障がでそうだわ、こんなことなら半分の距離でもいいから1号さんと走った方がよかったかしら・・(となぜか私まで女性語尾になっている)、などと考えるが決してそんなことは2号さんに悟られてないよう楽しそうにふるまう。
それでも国道よりは県道を、県道よりは名もない枝道をこのむ趣向は親譲りなのか、2号さんも早速県道、地方道攻めに入っている。そのことには何ら不満
はないのだが・・。文明の利器を持たないため、集合時間確認 の連絡がとれないままに日没が迫っている。仕方なく(だかこれ幸いだか)ここのところのお気に入り、そば屋さん集落で閉店間際のそばで夕食をとる。もちろん2号さんにも高価な(居住地周辺比)夕食を、峠を身軽にのぼるためのダイエットと称して少な目にだが(本当は節約のため)流動食を補給してあげたことはいうまでもない。
(あれ、それは帰りだったかな?)
  最後の国道に合流後は、何度ここを走ったのだろうかと不思議に思いながらか回想(2号さんは快走)しつつ、待ち合わせ場所にようやく到着。
メーターを見ると明日のTT距離の15倍も走っている。どうりで疲れるはずだ。そのせいではないが、2号さんはその後24時間は1歩も動けないはめになるのだ。
閉じ込められていた車中からようやく開放された私は、S氏 、F氏とともに懐かしい香りの湯につかり少しだけ潤滑油を流しこんで寝床についたのだった。
なぜかまた閉じ込められているような気がするのは悪い夢でも見ていたのだろうか。
(2日目に続く)