ひとに病あり(その弐)

さてここで我が国でも希少価値の高い、と同時に今後の治療法研究に於いても大変貴重な事例であることに疑問の余地がないY氏については、先に発表の場を確保することで「本人」に自覚を促すこととしよう。
 先日召集された某県某温泉場での「湯治治癒療法研鑽会」においてもY氏の凄まじいまでの病魔進行度と、(悲しいまでに病魔の重さに気付いていない)微笑ましいまでのS氏の天衣無縫さとが大いに議題に上った事は賢明かつ向学心旺盛な諸君にとっては周知の事実であろう。尚この研鑽会には最も直近に発病認定を受けたN氏も馳せ参じていた(睡眠不足の氏が、甘い言葉に惑わされ自宅前から半軟禁状態で拉致されたのではないか、との未確認情報も提供されているのだが)が、やはり(自画自賛するわけではないが)Y氏の(悲しいまでの)症状に最も的確かつ情け容赦ない現状分析を矢継ぎ早に披露し続けたのが他ならぬ「筆者」であったことは史実が語るところであろう。