走り納め

 早いものでこの年末恒例の走り納め兼お参り納め(?)に参加(企画)するようになり、今年が4年目になる。
今回は月半ばに行われた忘年会での予告を、スケさんが片手離しで難なく拾い上げていただき無事開催された。
あと50キロだけ走れば年間総走行距離の端数がなくなる、という不純な動機しかもちあわせていない私は久しぶりに寒い早朝から起きなければならない前夜から赤ん坊のようにグズっていたのだが・・・。あいにくこんな大きな赤ん坊をあやしてくれるような奇特な人(危篤な人ではありません)は近くにおらず、仕方なく目覚ましをかけ少しだけ早めに眠る。って目覚ましの時間はいつもの出勤日と同じじゃないですか、あなた。
 眠く寒い朝、ぐずぐずいいながら支度をするが「冬の集合場所には絶対間に合わない」法則が作用し、ひげをそり(そんなの今じゃなくても・・)、朝食もとり、ウエアをあれこれ着込んでいるうちに、あ〜また間に合わないぞ。更に寒いんだからシューズカバーに、ウインドブレーカーも着ないと・・・。要は8分遅れて何とか集合場所の橋のたもとに到着したわけだ。あれ、見慣れない人が(あれ風さん風だが風さんじゃないっていうことは?)もちろん誰だか判りましたよ、本物奥武蔵爺殿でした。常連というか主催者のスケさんに加え、今年の年賀状はこれで決まりだ〜(って勝手に決めないで)と幼馴染、じゃない同年配の納さんがデジカメでスラリとした女性、じゃなく(多分)冬の多摩川を撮っている。本物の風さんが遅刻することは有り得ないので、あとはカクさん?と話を向けると予想とおり(失礼ね、門さん)午後の部からの参加らしい。っていうことはこれで全員集合、ってなわけですが誰も走り出そうとせず、まるでこれから始まるカクテルパーティか政治団体懇親会を前に和やかに親交を深めているようだ、気温1度の真冬の多摩川べりで、ですよ〜。
 どうやら爺殿は諸般の事情によりお見送りに来ていただいたようであることが判明、走る距離はなぜか100キロ、との厳命が下っているようで(って元は門さんの発言からみたいですよ〜)まずはあまり走りたくない病にかかりつつある私が長池周回方面でお茶を濁そうと提案をする。そうそう今日は「あの」風さんが欠席ということで着き切れの心配も心肺の心配もないことだし、あれそれじゃ走りたくなっちゃったな〜なんてひとり言がどこかから聞こえてきたようだけど、多分気のせいだね。藤沢あたりでも、という意見があがる。一瞬え〜そんなところまでいくんですか?何でまた?と思えた、が往復100キロにはちょうどよさげなコースであることが判明、午後の部までそのままなだれこむかとも思われた寒中談笑の部も20分ほどで終了、秋鮭のようにみなさん(私は除く)嬉々として?川の遡上開始したのだった。
 爺殿の橋1区間分見送りを受け、まずは尾根幹線まで先導。そこから境川沿いお勧めコースへ向けスケさんが先導バトンタッチ。相変わらず高速回転系でクルクル「軽めの」ギアを回すテクニックに衰えはない。いろいろなテクニックを豊富に持つスケさんだが、いったいどこでいつ磨きをかけているのだろう?来年あたりにこそり聞いてみようかなどと考えているうちに・・・長池周回のコーナーを左折し、走ったことのあるコースや無い道をつなぎ自信たっぷりに先導している(ように見える)」スケさんの足の回転にあわせて発生する気流にわずかな乱れが生じているのを見逃さなかった。が、何のことはないかつて西東京代表として甲子園をにぎわせたオビリン高校を、今年晴れて?西東京代表に編入されて初制覇を成し遂げた早実との比較連想で見せてくれる離れ業を披露してくれたようである。もちろん多少平行四辺形的なルートをとったことは再最終的走行距離をきっちりあわせるためだったことも言うまでも無い。
 境川沿いの道は途中の道路横断や柵などがあるものの、町田市街や交通量の多い246などとは関係なく走れることがわかりなかなか快適だった。進路がほぼ南向きになってからは北風に追われるように平均時速もどんどんアップし、「大晦日小田急臨時列車ノンストップフルオープン仕様指定席3A席」に乗っているような感じであった。道も以前に比べ整備されつつあり、標識もしっかりされてなかなかいい感じである。足の(2人合わせて4本)揃ったメンバーなので、帰りも上り方面「大晦日小田急臨時列車ノンストップフルオープン仕様指定席3A席」を確保するため小声で結構追風なので帰りは結構きつい向かい風になりますよ、とつぶやいておく。あれよあれよという間に国道1号線をくぐり川沿いの道が狭くなるところへ来た。ここまできたら一応江ノ島まで行きますか?と(日本語はこういうとき便利ですね)何となくの全員一致により決定、ここからは何十回と通ったことのある私が先導しあっという間に江ノ電江ノ島駅へ。まさか大晦日江ノ島に来るとはな〜と我ながら不思議な気分だ。が、考えてみると心当たりがあるのだ、ちゃんと。南伊豆で「何となくさざえ」を土産に買って帰り、ついでに漁協のおばさんに(多分内心呆れられるような)質問をしておいた。もちろんまるで「さざえ」とは何で、いかにして食すべきか、彼は(彼女なのか?)いつまでこうして生きているのか、生きたまま年を越せるのか?ということは彼が(彼女が)まだ生きているうちに焼き尽くさなければならないということか?等など。でも実際こういった質問に正確に答えられる日本人率はどのくらいだろう??で要は早速彼と彼女を網焼きにし冥土の土産にと我ら日本人の誇る「JAPANESEサケ」「ショーユソース」を飲ませてあげた訳だが、要はこれが予想以上に美味しかったわけです。でやっと江ノ島、さざえのつぼ焼きなんて最近久しく食べてないな〜、最後に食べたのはいつ、どこでだったかな〜ということをここ数日夜も眠れないほど考えていたわけで・・。で、そうだ江ノ島だ、もうかれこれ10年は前だろうかあれは・・。そのときにはどう間違えても江ノ島に行く予定は全く無かったわけで・・、あ〜さざえさんごめんなさい。
 気を取り直して?最寄のコンビニで補給休憩に入る。向かいの老舗饅頭店でもちょっとおまんじゅうを買って食べたのはいいとしても、気が付くとおおみそかの昼間から巨○インストラクターがどうのこうのなどという話題を大きな声で、40代の怪しげな格好をしたおじサンたちがしているではないか?あれその人たちって・・・あえて誰だったかはここでは省略することにして、さ〜次次。
 向かい風に備えて気を引き締めた(あれいつ気が緩んだんだろう?)我々3人は、川が流れるように自然な先導役割分担をしながら来た道を戻る。向かい風ではあるが向かい風難易度レベルではRHマイナスぐらいか。それでも3段ロケット発射じゃないけど私⇒スケさん⇒納さん、と先頭が代わるにつれて平均時速がきっちり3キロ上がっていく。もう納さんったらいい年なのに元気なこと(あれなんだか口調が変?)。前で走っているときは不本意ながら心拍150位まであがってしまうが、これも先頭交代を代わってもらうまでの辛抱さ、と思っていたのに。結局前でも後ろでも150近くで走ることになり、スケさんもそうだけど上りスペシャリストとしてキャリヤ補強されたと聞いていた(誰がそんなこと言った記憶ありますか?)納さんなのに平地も知らぬ間に速いこと速いこと。これじゃホセルハノだな〜などとのんびり考えている暇も無く少しでも楽をしようと前走者のタイヤにタコ吸盤のように吸い付く。速いのはいいんだけどこれじゃ特急券代を払い戻してもらわないとな〜、あ〜でも何て言えばいいのかな〜。午後の部すなわち「この1年でついた心の垢を清い水で洗い流し、新年の抱負を友と語り合う」会の会場は深大寺、ということで帰路は町田手前から最短(と思われる)ルートをとることに決まる(というか独断で決めた)。246をわたってそのまま走ったことは無いが勘が働く道を通り、そのうち思ったとおり走りなれたる16号バイパスへでる。思ったとおり1年で3番目にこの近辺の交通量は減っているため不快度数は3.5%程度か。それにそろそろ「この1年でついた心の垢をどのような清い水で洗い流すべきか、またその際の潤滑剤には何を使用すべきか」といった難しいが心躍るような問いかけが発せられはじめたことも・・・。(あ〜日本語って便利です)ところが世の中そんなに甘くはない。ましてや今日は泣く子も日頃何もしないおじさんも掃除をしなければいけない大晦日、いい年した働き盛りの男がこんな道端で(移動しながらとはいえ)いすに座って足をクルクルさせていていいはずがないのだ。ハムスターじゃないんだからね。
 スケさんが相変わらず驚異的なシッティング高回転でちょっとした坂をのぼり始める。う〜んこの安定した高速回転は昔かっていた(ハムスターの)るーちゃん並か、いやまだ(ハムスターの)ポヨンちゃん並か?などと遠い目をして感慨にふけるまもなく、ハムスターのように心臓がどきどきし始め、子猫に目をやると禁断の(お義父・・じゃなくて)きわどいところまでいきそうになっている。やっとの試練を乗り越えたが、大体の多摩地区の道ならほとんどマスターしているはずの私もなぜかこのあたり(稲城と鶴川街道近辺)は苦手意識があるのだ。この坂で終わりなのか、まだあるのか?そんなことを考えていると前を行くスケさんが先頭交代を要求してくる。その真意は測りかねたが、ここは午後に備えたクールダウンだと称して一気に楽なペースで走る絶好のチャンスと(泣く泣く)前にでる。前方に嫌な感じのちょっとした上り坂が登場。自慢じゃないが(って言う場合まず間違いなく自慢なのですが)一日4000メートルの積算登坂距離もこなしたことのあるこの私、これしきのせこい坂(って失礼な)が何だって言うのよ、ばかにしないでちょうだい(なぜかトーンが違うぞ?)、だったのだが。正直もうあしも心臓も止めて義父様(それも本当に)状態で、うなだれてギアを落としため息をつきながら登り始めると・・・?あれなんだか後ろの様子が変、とおもったら(風さん、じゃない)納さんがいきなりのアタックであっという間に行ってしまう。その切れ味は素晴らしく、私のヘロリ度値との比較を調整後でもいつのまに納さん?といった感じ。後ろからは息を潜めた?スケさんがぴったりついてきており、あ〜これがビノクロフとカシェキンに最後ののぼりで息の根を止められたバルベルデの、はたまた・・・。
 そんなこんなでようやく稲城大橋を渡りようやく今日の第二ステージならぬ清めの会場を間近にし、ほっと安堵の息をつけたのだった。過去3回恒例になっていた「ガラス張り貸切個室」指定の店を卒業し、蕎麦がおいしいという納さんお勧めの店へ到着した。ヤレヤレ、ずいぶんかかったな〜(ここまで書くのに)
終わり

 さていよいよ初めての店内だが、素早くよさげな席(そのうちあまりに我々のあまりの清く正しく格調高き会話に、道端で足をクルクル回す代わりに大掃除なるものをちょこっと終えてのんびり蕎麦なんか?食べている周囲の人が私たちこんなくだらないこと話していいのかしらお父さん?あなた〜ん?と自信を無くしてしまわないように適度な距離を保てる席)を確保する。わたくしがお清めの前に汗と北風でよごれたお顔を洗ってこようとすると、なぜかお仲間たちが声をそろえて「あれ〜門さん怪しいな〜エヘヘ」と唱和する。ので私ったら本当は何か疾しいことを目的として顔を洗いに行くのかしらん?とひとり考えてしまったり・・・。そんなこんなしているうちに遅れてさりげなく登場した実直そうな(実際も実直な方です)格好をしたカクさんも合流、あやしいおやじ4人組のお清めの会が始まった。最初に言っておくが、間違っても「この1年でついた心の垢を清い水で洗い流す」ことも「新年の抱負を友と語り合う」こともなくそれぞれの理由でいきなり高速回転気味のメンバーは言いたいことを勝手気ままに話し始めたのであった。が、何を隠そういちおう我々みんな男性のため「自分の話をしたいためだけに相手の話を聞いているように、本人もそう信じているが実際は全然人の話を聞いていないため人類学上で定義される会話というものがそもそも成立していないにも関わらずあ〜今日はみなさまとお話できて楽しかったわね〜オホホという高度な会話ができるレベルにまでには達していないため)なぜか話があちこちで絡み合い常にワタクシが「座席を確保した本来の目的」とは正反対の方向へ流れがちな状況に空いた口(にはお酒がつがれ)、開いた口が(ふさがるまもなく話し続けたため)ふさがらなかったわ、オホホ。
 まあ飲んだ席での話題をあれこれ書き連ねるほど芸がないこともないわけではありますが、江ノ島神社前では不発に終わったGIANT談義(GIANTフレームとT-MOBILETEAMに関する真相、でもGIANTフレームのスロピング性能につてでもなく)単に巨人の「巨」に関する話題や、今回参加されなかったメンバーの恥ずかしいこととは?とか門さんが来年以降悪魔おじさんの記録を塗り替えるような「ロード選手じゃないのに国際映像に登場する延べ分数TOUR DE FRANCE版」になるのではとか、峠や上り坂を前にして我を忘れて悶えて(あらっこういうときは「もがく」っていうのかしら、私、日本語って難しくってわかんな〜い)しまう人の共通点(ありました、ありました)についてや、某都内市議会議員に清く正しい一票を私も入れますよといっておきながらその市に住んでない人や、白手袋にママチャリでの選挙活動じゃいまどき珍しくも無いが指きり手袋にロードレーサーにジャージ姿だったら絶対テレビに映りますよと投票も行かないのに無責任なことを言っている人や・・・。
 まあそんなこんなで気が付くと既に日も西に大きく傾き始め、仕込がある人や自分のお掃除が終わってい無い人や、まあ人間長く生きていればいろいろな理由で家に帰らねばなりませぬ、帰りたい時も帰りたくない時もどっちでもいいときも・・・。最後にお店自慢の腰のある蕎麦を(ひとり)いただき、「飲んだら乗せるな飲むなら乗せろ飲まないなら乗るな」などと美しき日本の明日の標語を唱えながら、スケさんとは橋の手前でお互いの無事の帰宅を心配しながら別れ、帰路につく。夕陽が沈んだ後の多摩川べりは比類なく美しく、酔い覚めしそうな寒さに負けないようスピードを調整しながら走る。ついでに普通はもう少し前か後に行くんじゃない、神社での初詣(もちろん今年の、です?)も済ませありがた神主さんのお話も聞いて無事家へたどりついたのだった。気になったことは神主さん曰く「皆様昨日や今日に大掃除をお済ませのことかと思いますが、それは住まいも心もきれいに清め今年の塵を払うことで、今日の除夜の鐘の後に新しい神様が皆様の心にも住まいにもすんなり入れるようにお迎えするためなのです」だって。大掃除も小掃除もせず午前中の4時間は道端で(移動しながらとはいえ)座ってハムスターのようにただ足をクルクルさせて過した私って・・・、更に午後の3時間は・・・・あ、お清めのお酒で身も心も大掃除、ついでに洗顔も済ました私・・・合格ですね?神主さん。