セザンヌ、ルノワール、マチス

バーゼルで半日、ニースで1日半、パリで丸3日間絵を見た。

マチスセザンヌルノワール・・・。
今回じっくり見たのはこの3人の絵になる。ピカソゴッホ、ラトゥール、ゴーギャンピサロあたり
(などといっては失礼に当たるが、皆様もう故人なので許してくれるでしょう)も昔から好きなのだが。
マチスの色、シンプルな素描。どちらも一見するとあまり上手い絵ではない。が、見れば見るほど素晴らしいのである。
ルノワール。私の好みは40代までのもの。代名詞のようになっている裸体画はあまり好みではない。
肖像画と風景。人間業とは思えないような光具合が素晴らしい。
セザンヌ。彼は(ちょっとなれなれしいが)一番最近お気に入りの、それもほとんど最上位(かその近くに)なった
ひと。基本は果物のある静物画。しかし人も風景もすごい。が、リンゴや陶器やテーブルクロスやオレンジなどの配置、色、影、色、配置、光、色・・・上手すぎる。

今回ピカソ美術館には肝心の大作がごっそりなかった(盗まれたのではなく母国の展示会に貸出中らしい)ので、上記3名にははるか及ばなかった。
考えてみればヨーロッパでは、彼等の足跡やらゆかりの地やら住んだ町やら描いた風景やら、すいぶんと回っているのである。
エクサンプロバンス、カーニュシュメール、ゲルニカ、パリ、アンティーブ、ボグナール、サントビクトール、ジュアンレパン、ムージャン、ニース、バンス、コリウール、ペルピニャン、アルル、サンレミドプロバンス・・・。それぞれ味のある、いいところだったし気にいって何回も訪問しているところもあるようだ。
そのうち私も彼らの仲間入りをしているかもしれないな〜。どういう「仲間」かは別にして・・・。

冬の巴里

やれやれやっとN(入国拒否に遭わないよう本当の国名を書けません)の人ごみを卒業したっていうのに何を好き好んで(下手な日本語利用方の見本
1、しかし韻を踏んだ高等テクニックという評価もある)こんなに人の多い・・・。それにしても足元は気をつけなきゃいけないし(お犬様のお土産)、人ごみではポケットやバッグに気をつけなきゃいけないし(人種差別撤廃推進協議会永世特別名誉顧問代理を仰せつかる身としては誰とは書きません)、それにこの人達「ば〜ぶ〜」だって日本語で話せないときてるからね。俺だって「あ〜う」だったらこの人達のお言葉知ってるのに。
 さっさとそういう心配のいらないところへ行きましょう。
まずはおるせー。「うるせーじゃありませんよ」いつからそんな美し(くな)い日本語を・・。
次がぴかそ。「ぴかちゅ〜」じゃありませんよ。Pのスペルを言うのに「この言葉」を使った外人さんはどの国の人だったかな?
最後がぽんぴど〜。貧乏道ではありません。この人の生まれ故郷を夏の終わりに訪ねましたね〜。ままちゃりで100きろも走ったらだめでちゅよママ。

ひとつぐらい、荷物になるけど買って帰るかな〜。
(終わり)

え〜これで終わり・・・。職業年齢国籍病名不明のようであります。

冬の愛瑠蘭土

う〜寒い。お日様はどこに行ってしまったのか?
まずはPUBでGUINESSを飲ってからじゃないとやってられないね〜。
いや〜それじゃ暖まらないでしょう門さん、BLACK BUSHにしましょうよ。
やっぱりJAMESON12かな〜。

ようやく暖まってきたな〜。やっぱりドライバーが暖まると借物愛車さんも暖まってくるのか、何だかご機嫌だな〜。おいおい、このどいつヤロウはどいつだ。左を走れって、ちゃんと標識にも書いてあるでしょ。あれ、私が右を走るんだっけ?まあどっちでもいいや、真ん中走ればアンゼンね。
 
わ〜やっぱり海が綺麗だな〜。

こ、この風は何ですか〜?
しみじみ車にしておいてよかったと胸をなでおろす門さんでした。
でも明日は借物愛車4号さんが待っているんだっけ・・・。

謎のコルシカ島

 コルシカ島と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか?
あれはとある初冬の朝の出来事だった。

 テラスの右手前方に入り江が2つ見える。手前がボーリュー、その先がカップフェラ。まだ日の出には時間があるが、少しずつ外が明るくなる。同年代の演奏家のバイオリンソナタを、サイン入りCDで聴きながら、今日は日の出をどこから眺めようかな、などと思う。やはり今日もテラスで朝食を摂りながら、であろう。
 昨夜ははるか沖合いに、大型の客船の明りが月明かりのもと大きく、そして確かに弧を描きながら東から西へと動いているのを見た。正面に広がる海原には、それ以外何も視線をさえぎるものはなかった。昨日も、一昨日も。とすればもちろん今日も・・・であろう。
 今朝もこのあたりの最低気温は10度。北方や内陸部では最高気温がやっと3度か4度だそうだ。あと十数分でこの地域の日の出の時間である。が、ふと思う。テレビで、あるいは新聞で堂々と「何時何分」と特定している、「ある地点での日の出時刻」とは正確には何を示すのだろうか?おそらくは、何も遮るもののない海原から太陽がその端を海面に見せるのが「そこから見えるだろう日の出時刻」となるのだろう。地形的、人工的障害物は一切考慮しない数字でしかないことは、ちょっと考えると明白のように思える。ここでは幸い日の出を見るのには何の障害物もない。その意味では雲さえかからなければ、ここからはこの1週間、ほぼ毎日それを観測できるわけだ。
 はるか沖合いに、わずかに雲海がかかっているようにも見える。が、太陽が昇る位置はそこからではない。昨日も一昨日も確かに海から昇る日の出を見た。だが・・・。今日はちょうどその地点の横に、といってもはるか遠くの水平線あたりに雲がかかっているのだろうか?眼を細めて眺め、考えてみる。あれはもしかして陸地か?としたらイタリア半島か、島にしてはずいぶん大きいようだが。
 分からない。それに何だかおかしいではないか。この2日間、いや3日間だったか海から上る日の出の周囲には島も陸もなかったし、夜の月明かりでも水平線を遮るものはなかったはずだ。気になるので広域エリアの載っている地図を探し出してきて、左右の海岸線にきっかり位置をあわせてその得体の知れない、雲海のはずだが少しずつ島影に、それも比較的高い山さえあるようなシルエットに見えつつあるその影を地図上で探す。探すというより考える、というべきか。
 というのもそもそも、確かに100キロ圏内には間違いなく海しかない、が数百キロ先には前方を全てイタリア半島が横たわっているわけで地球が丸いことをうっかり失念すると子供じみた答えが出かねない。が、丸いって言っても、どれぐらい丸いの?高度約50メートルのこのテラスから、すぐ先から広がっている海の、いったい何キロ先の陸地までが海面に隠れて見えないのか、そしてあれが陸地だとすれば標高がどれほどあれば・・・。
 朝のひとときを、まさかここ何十年も考えたこともなかった計算や、推測をして過すとは。しかしひとつずつ事実が見えてくる。明るさが増すにつれ、それが陸地であることに疑いの余地はなくなる。コルシカ島!山の高さ、ここからの推定距離、位置関係から間違いない。そうか、コルシカ島。ナポレオンが生まれた島(でしたね?)がここから見えるのだ。イタリアか。先週は毎日のように国境を越えて、走っていった港町とおなじ国か・・・。東にあるのは分かっても、こうして南方面にイタリアを見るとは。それはそれなりの時間を経て、そう考えてもそうでしかない、とようやく納得できた事実だった。
 いつものように炒めたニンニクをたっぷり効かした、バリラのトマトソースパスタを食べながら、コーヒーを飲む。さあ今日はどこを走ろうかな?これは考えなくても決まっている。昨日と全く同じあのルートから上って、あそこで海を見て、次はあそこのコーナーから、1時間早いとあの半島の見え方が少し違うだろうな、そしてあそこの断崖からモンテカルロを眺めおろして・・・、夕焼けはまたあそこで・・・・。これ以上に期待できる素晴らしき1日があるだろうか?
 と、何だかすっきりしないことがひとつ残っていることに気がつく。それも重大な問題である。こんなにもはっきりと正面はるかに山並みを見せているコルシカ島が、なぜこの3日間全く見えなかったのか?思わぬ難問であった。し、今でも100%解決をしたわけではないのだ・・。自然というもののすごさと、人間の感覚が「絶対的」では決してなく「相対的」であることを思わぬタイミングで認識したのである。
 そして太陽が顔を出し、完全に明るくなりきった頃・・・コルシカ島は消えたのである。全く影も形もなく・・・。

以下に私の出した推論をあげてみたのだが・・・。

1.日中も夜も、明るさと大気中の水蒸気濃度の関係から、可視(視力1.0では)できない距離(推定200キロ前 後)に島がある。
2.今日の日の出前は(少なくともここ数日では)コルシカ島からここまでの大気の透明度が最も高かった。
3.ここからコルシカ島までがまだそれほど明るくなっていない、がもちろん真っ暗ではない「日の出前30分から 日の出直後頃までのあいだ」だけ太陽光線が逆光にならないため、島がはっきり見えた。
4.太陽が完全に昇ってしまうと、ほぼ逆光の位置になるコルシカ島は全く見えなくなる。そしてそれ以降太陽の
 位置が変化しても、島を照らし出して可視できるほどの大気中の透明度条件が物理的に(あるいは気象的にほぼ毎 日、終日)得られることはないので島はそれ以降2度と見えなかった。
5.幻を見てしまった・・・?
6.365日、観察してみたら楽しいだろうか??

冬の南仏

う〜んさすがこーとだじゅーるデアル。ニースの空港に降り立つと日差しがまぶしい。
冬のドイツに置き去りにされ一冬を越すはずだった愛車3号さんも、心なしか微笑んでいるような気がしないでもない。しかし、気温は暖かいとはいえこのあたり一帯は坂が非常に多い。
ランス君も春先、ここいらの急勾配の峠道でトレーニングを積んでツール初優勝につなげている。
さあ今日はどの峠に行こうかな?
なになに下りが寒いからいやだって?
なになにフランス人は嫌いだって?
なになにビールはドイツのほうが美味しいって?
なになにパンだってフランスパンなんてたいしたことないって?

う〜ん、自己主張が強いな〜。少しは日本人も参考にしてね。

予想とおり波乱万丈のMTB移動

さて今回初めてチャレンジするヨーロッパ内マウンテンバイク移動。まあ普通におとなしく
移動すればそれほど大変なことではないのですが・・・。

その壱<そもそも保管してもらっている店は営業中か、おじさんの英語力が極端にダウンしてないか?このMTBは車輪が工具無しにはずれたのか?>
 ドイツ内でMY MTBをキープしてある自転車店へ向かう。幸い廃業や長期休暇ではなく、顔馴染みになったともいえる気 のいいおじさん(年の割りには若い)元気よく働いていて一安心。聞いていたアドレスや検索して見つけたショップのア ドレスから今回の件を連絡した、英語と若干のドイツ語併記のメールは、あいにく不達だったり返事がなかったりだった のだ。英語を多少話すけど読むのは苦手なのかもしれないな〜、おじさん。(予約した宿のおじさん経由で、電話 してもらっておくという裏技?を使いキチンと連絡は入っていたのだが)
 私「やあこんにちは。僕のこと覚えてますね?そう、よかった。例のMTBを明後日バーゼルからニースまで飛行機で運ぶ んだけど問題ある?」
 おじさん「お〜全く問題ないよ。そうそう、タイヤの空気は抜いた方がいいね」

その弐<ロードレーサーで利用している専用の輪行バッグに果たして簡単に収まるだろうか?>
 店へは初めから自転車用のスタイルで歩いていったので、さっそく3ヶ月ぶりのマイバイクにまたがりバーデンバーデン
 へ自走と電車で移動。翌日もその組み合わせで走って電車に乗せてまた走って、とMTB君フル稼働。慎重派の私と  しては移動日早朝にバイク収納はしたくなかったのだが、あいにくの雨で濡れた自転車を夜中の12時から畳むのも しんどい。ということで翌朝早起きをして取り掛かる。いつものロードレーサーならものの3分で完了する作業ではある が、念のため30分位は時間を見ておいたが・・。
 まず畳んだときのサイズが全然多きく、ジッパーが全くしまらない。朝一番の冷や汗。冷静に考え、まずサドルを抜く、 次に空港でやればいいと思っていた両輪の空気を抜くと・・ぐっとサイズが縮まるわけね〜。何とかなりそう    か・・。ペダルもはずし、どうしても収まらないところを袋で覆い靴ヒモで縛り・・・1時間経過し、冷や汗どころ 冬の早朝からかしっかり汗をかき、朝食を特別に1時間も早くしてもらい、駅まで送ってくれることになっていた 宿のおじさん(イヤな顔ひとつせず、この両方を心地よく引き受けてくれるおじさんなんて、ドイツもこのあたりま でこないとそうそうありませんよ、ましてやシーとかウィーとか言うあの国やあの国では・・・)、時間には正確な日 本人の?私を?心配して部屋まで様子を見に来てくれる。そりゃそうです、重いスーツケースとMTBを抱え、宿を出るべ き約束の時間まであと10分だ。
 善良なおじさんに心配かけてもいけないので(というか詳細を説明している時間がなかったのだが)、私「ちょと だけ(実際は汗びっしょりかいて1時間も)思ったより詰め込みに時間がかかってしまって・・・、折角の朝食で すがコーヒー1杯くらいしか時間が・・・・」おじさん「ヤー、オウケイ(発音通り?)」冷静に腕時計(ちなみにこ れも?信頼のドイツ(空軍)製」を見て、1Fにおりてハムとコーヒーを頂いていると、おじさん「パンは包んどいたからD B(ドイツバーン=ドイツ国営鉄道の略)で食べてね」。私「フィーレンダンケ」(こういうときはちゃんとドイツ語で感  謝)。雨上がりの、霧の立ち込める3キロの道をきっちり5分で、おじさんの言うとおり5分前に駅に到着しまし  た。

その参<そんなに重い荷物を持って無事移動できるだろうか?>
 そう重いのです。ざっと見積もると、スーツケース約(この「約」が更に追い討ちをかけるのだが)20キロ(こ の日乗る航空会社の制限重量)、登山用デイバッグ約7キロ、MTB収納の袋約15キロ。42キロですか・・。スリ ムな女性一人を抱えて何度も乗り換えるようなものです(尚、ドイツあたりではそんな軽量級の大人はほとんどい ませんが)、まあスーツケースには酷使されてヨレヨレのキャスターはついているのだがが。親切にもおじさんが3キロ先の駅ま で送ってくれたので、一駅乗換えが減ったのだが当初予想された今日の予定とは・・・。
 最寄り駅まで歩10分。ローカル電車。乗換。ローカル電車。乗換。スイス国境検問。乗換。バーゼルSBB(スイス)駅着。空港 行バス停を探し歩5分。バス。飛行機チェックイン。ここで一瞬だけ7キロだけに。ニース空港、バス停を探し歩5分。バ  ス。アパルトメント近くのバス停下車。歩5分。3カ国とほとんど全ての乗りものに乗り42キロを運ぶ私・・・。

その四<ドイツ人(若い)女性車掌さんとの対話>
 詳細はカットしますが、今回宿泊したエリアでは公共交通機関利用推進のため(環境問題先進国のドイツのなかでも最も 進んでいるフライブルグもこのエリアなのです)滞在日数有効の地域バス列車乗車無料カードを作成してくれる。南は国境を 越えてスイスのバーゼルまで利用できる素晴らしい制度なのだが、宿のおじさん曰く「ローカルトレインにしか乗車できないか らこのICはダメだよ」。でもこの夏、フライブルグに行ったときにICにも乗った記憶があるので、乗換が少なく快適 なICのほうがいいのだが・・。寒い早朝の南ドイツの駅で42キロの荷物と格闘後、シャツ1枚でも汗ばんでいるよう な私が、快適なZURIC行きICの2階席に落ち着き、もう乗換で馴染みになった駅でホットココアなどを買って(42キロ プラス200グラム!)余裕を見せ始めていた。まだ朝靄のかかる田園風景を眺めつつ、これで全体の40%くらいは 難関を突破したな〜、そうそうおじさんの持たしてくれたパンを頂きましょう。
 乗車後15分、女性の車掌さんが笑顔で検札にやってくる。私の予想は「本当は適用外だが、今回はもう乗ってし まっているし(って乗る前には検札はないでしょう)次回から気をつけてね、ドイツ語良くわからないから無理もな いわね」「そんな詳細規定までは知らないので何の問題もない」「これでは乗れないので正規料金全額を払ってく ださい」「今すぐこの窓から飛び降りよ」の順であったが・・・さすがドイツ・・・。きっちりと英語でこれでは この電車には乗れないことを説明の後、困った風の(多少予想していたにせよ、実際困ったのだから嘘ではないで すよね)外国人(どう見ても)の私に対し「ルールは遵守しつつ寛大かつ気の利いた」提案をしてくれたのでし  た。差額を払ってこのままバーゼルまで行くか、次のフライブルグで降りてローカルに乗り換えるか選んでください、と。差 額や乗り継ぎ時間までちゃんと案内してくれ、きちんと「個人の意志と尊厳?」を尊重してくれるのだ。この心地 よい2F席でくつろいでいたい気持ちも十分あったが、こうなったら意地でも(って何がどうなって何に対する意 地なのかは説明が難しいのですが)ビタ1ユーロも出費しないでこの42キロを運ぶぞと決意し(同時にあと30分は こうして車掌さん公認で、正々堂々残りのココアとパンで土曜の朝を心地よくくつろげることもちゃんと考慮している ところが我ながらせこい(死語?)のだが)私「すいません、次回からはICはダメだって気をつけますよ、次で 降りましょう」(多分、きっと英語)。
 さすがに腐っても日本男児?、男に二言なしときっぱりとフライブルグで下車。走り去るICに先ほどの女性車掌さん をみつけお互い(多分ね)に笑顔でうなずきあいます。まあまた来年の6月頃に同じような状況でお会いしてしま ったら・・・どうしようかな??

その五<こんなに荷物があるのに空港に直行せず、美術館に寄るってあなたいったいどういう積もり??・・>
そう、出発前から様々な難関・困難がある程度予想されていたにもかかわらず・・。出発間際で準備の時間が足り ずにピンチだったにも関わらず、以前に読んだことのあるヨーロッパお勧め美術館のひとつにバーゼル市立美術館があ ったことはしっかりインプットされており、その部分のガイドブック(20年もの)を切り取った2ページがしっかり42 キロの一部になっている訳で。昨日の朝に、始発で出てバーゼルトランジット2時間で美術館見学案を満場一致で採択。お じさんには、朝食を1時間早めてもらえるか聞き、そのうえ最寄駅の始発がないので3キロ先の駅(それでもまだ十 分にローカル線、例えれば八高線か)まで送ってもらってまでして・・・。しかし42キロ、3個口の荷物はどうする つもりか、についてだけは明確な結論が出ていないのだった。(いくつか想定はしていたのだが)これが今日のハイ ライトシーンに直結することになる・・・。ビッラッハバーデン、オッフェンブルグ、フライブルグ、バーゼルドルフ、バーゼルエスベーベー。きっ ちり予定通りバーゼル駅到着。4時間だけの久しぶりのスイスだ。さすがにユーロじゃ美術館入場はまずかろう、とすごく 久し振りにCHFスイスフランに両替。当面スイスに来る予定はないのでできるだけ小額に済ませたい思いと、いざというとき には(というか1分1秒を争うときには)CASHに限るという教訓だけは身に着けているのとで、10で足りる 予定のところ20ユーロ分交換。これが見事な先見の明というべきか、10にしておけば必然としてあんなピンチがな かったのか・・。

その六<意地でも今日はお金を使わない>
 広い駅で正直右も左も分からずに、とにかく何とか列車から出ることに成功。冗談でなくうっかりすると出そびれ ます、これだけ荷物がかさばり、重いと。まずカートを見つけ、次に空港行バス乗り場とチケット購入方と時間をチェッ ク。次が両替。大体の駅の様子をつかみ、私が下した最終判断は・・・。空港行きバス停のすぐそばに、スーツケースと MTBの入った袋を満載したカートごと(いかにも次のバスを待っているけど、ちょっとだけトイレに行ってます風に )金属製ポ-ルにチェーンでロックする、というもの。まあ普通は手荷物一時預けを探し、5だか10だかフランを払うのがま ともなのですが、経験上この種の手続きは奇跡的にスムーズにいっても20分ほど要するのと、意地があるの    で・・・。実は歩10分ならこのカートを押してバーゼル市内散歩としゃれこもうとか、気温零度程のこれぞヨーロッパの 冬といった感じの(驚くことに実はこの町は始めての訪問なのです)バーゼル市内を20年前のガイドブック切抜きを 頼りに(まあこれはヨーロッパではOKでしょう)MTBで走っていけば1個荷物が減るよ〜んなどという半分常軌を逸 したような?卓越した?個性的アイデアを総合的見地からぐっと我慢?したのでした。ここまで満を持しておいた以 上ほんの?3時間くらいなら盗難リスクは0.7%くらいだろう、と自信をもってライン河方向に歩き出したのだった。
 美術館は・・・正直予想を上回る(私好みの)作品が多く大満足だったのでした。1200円程の入館料は全く惜 しくない内容で、あと10分くらいは問題ないか、などと思いつつでも石橋を叩いて壊してしまうほど慎重な?も う一人の私が「その、あと10分くらい・・で過去何度氷汗(冷や汗と比べてみてください!)をかいたことか、 まだこりないのかい・・・去年の夏は大渋滞のアウトバーンで・・・。ということで最後はギリギリまで粘るのは止め(自分比)(普通の海外旅行者なら遅くとも1時間は早くタクシーなどで駅に戻るでしょう、イヤそもそもこれだけの大 荷物を抱えて・・・。でも「貴重品やお金で買えないもの」を詰め込んだ7キロのデイパはちゃんと肌身離さず。  0.7%とはいえ、こんなことを143回やっていれば1回は荷物がなくなる訳だから、まさか最初の1回目でそう なりはしないだろうが・・。
 ご存知の通り初めての街ではしばしば、往きに歩いた同じ道を戻ることが結構難しいことで、山登りと同じで見え る景色が(特にヨーロッパの旧市街では)ずいぶん異なることによる錯覚や不安心理によるものなのだが・・・。何を 隠そう、地図を見るのは人より13倍は嫌いでなく、ヨーロッパにもとても詳しいはずの私ですが、過去に何度も方角 や現在地が分からず、そのうちここでは何語を話すのかさえ覚束なくなったりしたことが・・・(さすがに「自分 が誰なのか」だけは最後まで分かっていましたが)。
 万全を期してバーゼルSBB駅までのゆるやかな上り坂を歩く。さあ見えてきた見えてきたぞ・・・。

その七<在るべきところに在るべきものが見えないとき人はどう思考するのか?>
 さてと、ちょうどあの辺かな、あれまだかな?駅へ歩きながらいや〜バーゼル美術館よかったな、相当無理やり 寄 ったけどお釣りがくるような素晴らしさだったな。さあてとまだ油断は禁物だな、まずは「あれ」がなくなってい る可能性はゼロではないわけで、でも誰があの人目につく場所であまり金目のものがなさそうな割りにばかでかい カートの荷物を、チェーンを切ってまで持っていくだろうか。消去法で考えても、プロもお金に困っている人も衝動的に 窃盗を働く人にも、魅力がないよね・・・などと考えながら、ふとでもかれこれ3時間以上、ちょっとトイレにして は長いぞ・・。
 おかしいぞ、もうそこがバス停じゃないか、あれ。え〜とえ〜と。あれ。・・・見えない。チェンでくくりつけた柱を 確認するが全く跡形もない・・・・。ヤレヤレどうやらこれは事実らしいぞ・・・。しかし誰が何で??まずは近くに いるバス運転手さんや荷物係のおじさん達(この人達を密かに私設荷物見張り番に任命しておいたのだが・・)に 聞いてみる。幸い意味は通じたらしくドライバー「POLICEが撤去したんだろう、行って聞いてみたらいいよ」私「最 寄のPOLIZEIはどこに?(こんなときにはこんな単語が浮かびます)」隣でだべっていた(まだ冷静ながらも、ま さかね〜というイヤな予感が漂い始めた私から見れば暇そうに見えた)お兄さんが英語が得意らしく「OK、よ〜く 聞いてよ、ここをこう行ってここで・・・・」私「ありがとうございます。行ってみます。」
 時計を眺め何時何分までにどこまで解決すればセーフかを考えつつ、歩く。探す。人に聞きたい、が時間を無駄にせ ずに役立つ情報を得られそうな人(この見極めは結構大切!)はなかなかいない。ない、確かに彼はこの辺と言っ ていたが、全くない。冷や汗がでかかる(でもこれくらいでは冷や汗を出していたら・・・)。よしここで聞こう とPOST OFFICEに入り窓口で聞く。。。と・・駅の構内にありますよ、と。う〜んだったらここまで歩く必要はな いのに・・。広い駅構内、しかも持ち時間は10分単位でレッドゾーンに接近する。三国国境のスイスバーゼル駅で謎 の荷物紛失事件に巻き込まれ、POLIZAIを探し回る私。。。何だかこんな映画を見たような気がするな〜、でも落 ち着きましょう、事故じゃないんだし貴重品は全てしょってるんだから・・・。あった〜。ここは列車を降りた  ところだ。しかしまだ安心できない。案の定(お〜こんな言葉を使うのは生まれて初めてか)土曜日の午後のスイ ス、お巡りさんも仕事なんかしません(あるいはしてはいけません?)、入口がしっかり閉まって人気がない。ま ずい、まずすぎる。何やら書いてある、何々不在時にはこの電話でどこかを呼び出せってことかな?きっとそうだ ろう。迷わず受話器をとると人が出た(そりゃ狸は出ないだろう)、もちろんドイツ語で。でも彼の片言の英語だっ たか私の片言のドイツ語なのか、とにかく荷物ごとなくなったことを伝える。と、どうやら駅構内か周辺部に他の事 務所があるのでそこに来なさい、ということらしい。ますますこれじゃ映画の世界だな。カフカの「城」?そうい えばカフカの「審判」を持ってきてるではないか(日本語版です)。とにかくそれらしき方角やら店やらをかなり 早足で(冷や汗がいつでも出れるよ、と言ってはいるがまだ出てきていいとは言ってないぞ)探すが、まあ予想通 りそんなのありません。このへんはすでに今日4回ぐらいは通っているのだし・・・。もう一度電話をかけに戻る と、「分かった、じゃあすぐ行くから」「急いでいるんです、どれくらいかかるんですか?」「1MINUTE」ふ〜。 さすがに時間がなく、その人が来たのか偶然通りがかったPOLIZIAだったのか判らないが、とにかく歩いてきた2 人組みに、英語が通じますようにと願いつつ(まあ冷静に考えれば、ドイツ、フランス国境すぐの中央駅、英語が全く通 じないことはないよね)(このひとたちがフランクフルトでは遠慮なく出没していた偽警官だったら笑えないな、笑っち ゃうか)冷静に順を追って事情を(かつ簡潔に)伝える。
 さあここで「あ〜あれか」なんていう表情が一瞬でも浮かぼうものならしめたものなのだが・・冬のヨーロッパは そんなに甘くはありません。毅然として「当局はかかる荷物には一切関知しないものである」と(多分)おっしゃ るではないか。これってもしや適当な言訳か?いやいやまてまて、ここはイタリアでもないしフランス(すぐそこだしこれ から2週間も過すけど)でもない、れっきとしたスイス?ではないか。それもドイツ語圏の・・・。彼らはそんない い加減な返事でこの品行方正で?けなげにも?冷や汗をやせ我慢しているが途方に暮れつつあるちょびヒゲのアジ ア人をだましたりはしないはずだ。ということは・・・おっしゃる通りの意味である確率は非常に高いと判断、 「我如何にすべき也?」と問えば「駅のインフォメーションで聞いてみなさい」。

その八<カフカの「審判」文庫版を自分で買わずに図書館で借りて(3週間の期限に返せないことを知っているのに)ヨーロッパにもって行くとドイツ語圏のどこかで「城のK」のような謎の世界の主人公になってしますのでしょうか?Kがつく人は特に?>
 さあここで再び腕時計に眼をやり、同時に自分のめげ具合も確認。「めげてはいるがまだまだこんなことで    は・・」という気迫を感じ、勇気ずけられた私は瞬時にあと2つの可能性の検討開始を指示する。ここまでに費や した28分と30秒を無駄と思えばこの先の事態好転には何ら貢献しない。これはかならず必要な手続きだったの だと言い聞かせ、広い構内のインフォメーション探索を開始。同時に、本当にあれを盗んだ人がいるのかもしれない・・と いう現実も検討せざるを得ない。その場合、予定のフライトを諦めるどころか、腰を据えて対応するしかない。被 害総額をざっと見積もると・・・正直、金額よりも愛着のあるウエア(自転車の)が一番残念だ。保険はどうなって たっけ・・・。まあ実際こんなことが断片的に浮かんでしまっただけで、全力東急(おっとこれは26年前の東急 百貨店のキャッチフレーズだ)もとい全力投球でインフォメーションデスクを探す。美しい中央駅特有の高い円筒形天井も、なぜだか か恨めしいぞ。標識は見つかった、がおいおいどっちにいきゃいいんだよこの野・・・(おっとジェントルマンは苦境で もそんな言葉は使いません)、走って見回して、もう立ち止まって人に聞く1分の時間も無駄にできない。
 あった地下だ。お〜ここは手荷物預け場も兼ねているのか・・。カウンターのお姉さん(あなたはおばさんだったので しょうか?本当は)に色と形と時間と場所を「一息に」つげ、「あらそんなのあったかしら?ねえ知ってる?」な どという素振りをしそうだったので、そんな一瞬ののんびりモードがもはや命取りになりかねないので、奥のほうに 遺失物が保管してあるらしいスペースを「これが最後のチャンス」と覗き込んでわずか1秒。うわーあった!これだ!一 気にここでドーパミン?アドレナリン?でしたっけ、とにかく勇気百倍「あれです〜すいませんでした、謝るから返してち ょ」「あ〜あれね、駅構内に荷物は・・・・」「(知ってる知ってるそんな)すいません空港行きのバスに飛び乗 らないと間に合わないので・・」「それではすいませんが罰金をお支払いいただきますがよろしいでございますで しょうか?」多少の罰金のようなものは想定済なので値段を聞くと「10フランでございます」1000円なら喜ん で払います、スイスフランは・・・あるある、ここであの20ユーロ代えた先見の明が生きてくる。この金払い(罰金払い の?)の早さは恐らくバーゼル中央駅における不滅の最短記録になることを確信しつつ、カートを(かっさらうよう  に)非常に素早く(かつ恐縮しているゼスチャーを満面に浮かべ)エスカレーターをかけのぼ(れないか42キロのったカートじ ゃ・・・)る勢いでクリア。
 単独障害物競走の様を呈しつつ冬の(夏だったら1300ccの汗をかいてたところだ)バーゼル中央駅を縦横無尽に駆け 抜ける私。バスチケットもこういうときのために?事前に購入済、チェックインカウンターがきっかり40分前で「情け容赦なく」終 わることで有名な格安航空会社(しかしこの会社利用は初めてときてる)、バスの所要時間が15〜20分、運行 間隔が15分毎。カートを奪い返したのが(すいませんSBBの皆様、とんだ迷惑アジア人でございますがそれでもメゲで ません、次回は隣のポールに留めようかな)DEPARTUREの63分前だった。こうなった以上意地でもTAXIなんかに乗 らないぞ、なのかこうなった以上TAXIも止むなしか。しかし冷静な私はまずはBUS停へ走る。5分で次のBUSが出る ことを確認、これはぎりぎりセーフかギリギリアウトかどちらかだ。
 バスが到着してからの手順を考える「デイパのみでチェックインカウンターへ駆け込む」のが先か「荷物を引きずって行くか (まあ普通は間違いなくこっちですよね)」。バスを降りてから後部連結のカーゴから自分の2つを運び出せるのには 最低2分かかると見た私は、3分以内で走ってカウンターのオープンを確保して駆け戻れる位置にバスが止まるのであれば 先に駆ける、それ以上かかる位置であれば諦めて荷物を引きずる・・・。あのワールドカップに沸くフランクフルト国際空港で 駐停車違反を犯してでも走って駆けつけたカウンターに電気さえついてなかった、悪夢のような光景が脳裏よぎらない でもない。ただ今回は1週間借りているアパルトメントのオーナーに電話をし、バーゼルで1泊して翌日のフライトで移動できれば 被害は少ない訳だ。そこまで考えがまとまれば、あとはスリル十分の1分1秒単位を味わう世界。自分でハンドルを握っ てないぶん、バスが止まるまではさすがの?私も何もできないので気が楽か。ここの16分で消耗した心身の回復 に努めて最後の一声、じゃないがカウンターでのお願いに全力を出す準備だ。何だかまるでロードレースの選手のようだ。
 ちなみにあとでNEWSで知りましたが、あのミハエルシューマッハー君は同様の状況でTAXI運転手に換わって運転席に座り(お そらく)凄まじいスピードでとばして飛行機に間に合ったらしい、その後訴えられてるらしいが。大型免許さえもっ ていればな〜俺だって運ちゃんをどけて・・・って道がわかんないかな?
 41分前到着。また際どく着いてくれますね〜。100メートル14.6秒の鈍足を飛ばしカウンターへ駆け込む。人がいる、電気も ついている、何とかなるぞ。今日何度目かのお説教を拝聴(聞き流したとも言う)しつつ、身振り手振りと一応言 葉でも「ほんの2分待っててね、バスにおいたスーツケースとMTBを取ってくるから・・・」空港でゆっくり重量調整す る予定だったスーツケースは残念ながら2キロオーバー、殊勝にも?お姉さんはつめ直すか追加料金を払うか、どっちにす るの?と聞いてくるではないか。ここはそうかまだスイスだからか?百戦錬磨?の私もここまで何とかこぎつけて2キ ロの荷物をデイバッグに移し変える1分30秒の間に、そのお姉さんが「あかんべー」をして残念でした時間切れで 〜す、明日のフライト空いてるといいわねお兄さん!などという悪夢の展開も全くないわけではないので、ここはぐっ と大人になって?フランは(すでに使い果たしました)持ち合わせはないがユーロで払えるなら、と結構な額を払ったの でした。
 まだここまでやってくれたMTB(って俺のせいにしないでよ)が無事搭乗できることを確認せねばならないの  だ。タイヤの空気を抜いておいてよかった。不細工にふくらんだMTBの袋も、幸か不幸かお姉さんたちも最後の(もち ろん私が最後のチェックイン客でございます)一人を早く終わらせたかったのかもしれない、あそこに持っていって検査 してもらって、ということらしく。そこへ持っていくとX線検査を(まさかMRIをしたわけでもなかろうし、バリウム を飲ませる訳でも・・・)して、OKらしい。さて次は罰金じゃないこれは立派なチェックインバゲージエクセスフェアだ、を別 のカウンターで支払いようやくパスポートと搭乗券を受け取り・・。ひと気がなさずぎてどこから出国するのか、ありゃり ゃこの免税店内を通ってゲートへ行かせるのか・・・。疲労困憊ながらも結局は全てをクリアーにした(罰金プラスエクセスチャ ージは美術館に寄付したつもりになれば惜しくなかろう、惜しくないけど悔しいな)・・やれやれこれでえ〜と私 は今どこに向かってるんだっけ、あ〜ニース空港に行くんだたっけ。うん確かね。

その九<普通はこのへんで長かった一日も平和な方向に向かってもいいはずだが・・>
 何だかんだで6時起して、DB車中でパンを食べて以来飲まず食わずである。まあメントンの部屋に落ち着いて海を眺 めながら・・・・。ひと気のないターンテーブル、ようやく見覚えのあるスーツケースはでてきた。が・・?・?待てど暮らせ どMTBを包み込んだ黒い袋、今日既に大活躍の彼が出てこない。?いや、違うよ自転車は別のところで受け取る ようになっているんじゃないの?でもそんなとこってありますか??・
 ボソボソボソ、ボソボソボソ、
 キョロキョロキョロ、キョロキョロキョロ・・・・。
 静まり返ったターンテーブルの前にまたしても一人たち尽くすこと15分、さすがにとことんまでやってくれますね。ロス トバゲージですか今度は。なくなるはずはないのでツ・ミ・ノ・コ・シ。
 幸いデスクのお姉さんは英語もこなすので、必要書類を記入しつつ私「あの、その(格安航空会社なので)これって 自分で明日取りに来なくちゃいけないの??」お姉さん「ノンノン、ホテルまで配達しますよ」私「ほっ」。しかし待て よ、配達先の電話、住所ってね、まだ一度も行ったことのない、正確には(大体見当はつけているものの)国境の 町MENTONでバスを降りて英語で送信された「たどり着き方」をみつつ探すわけなんですけど・・・。まあそんなこ んなも、そうかこの人もオーナーさんもフランス語、英語を操れるわけか、よしそれならばとお姉さんにオーナーさんに電話を かけてもらい、私というよりMTB君の今後の見通しと対策について話し合ってもらったのでした・・・が、ここ はフランス、オーナー夫人は英語が上手なことからイギリス人らしい訳だがコートダジュールに住んでいる・・・ということはこう いうちょっと込み入った(要は面倒くさそ〜なことについて)身を入れて協議してくれる訳もなく、とにかく連絡 先として明日電話が行くが、そのときAPARTMENTで私が待っていることだけ伝えてもらうよう、直接私からもはな し、まあついでにこういうことで到着が遅れますがバスは何番のに乗れば早いですか?じゃあ建物の前で18時で すね、などと私用?の用件も済ませる。よく考えて、こちらからこのオフィスに電話すれば配達予定時間の確認が取れ そう(に思うのだが・・相手はフランス人・・)だが。これ以上ここで検討・心配しても意味がないので(というか印 象を悪くして意地悪?しないよね、そんなにフランス人が信用できないなら来なきゃいいでしょう、といわれそう   で・・・でもそこまで言われたらビシっと一言「フランスは素晴らしい、でもフランス人がいなければ更に素晴ら しいのに・・・」という非フランス語圏では合言葉になっている言葉で・・、「フランス」の代わりに「パリ」「ニー ス」何でも似合いますよ?)。あそれはまずい2週間後に再びここから出国するんだっけ。

その十<とどめを刺された?かな?>
 翌日。「な〜に明日の朝一番の飛行機で運ばれるから10時には配達確認の電話が行くよ」と複数のフランス人がおっ しゃっていたことについて、半分くらいそうだといいなと思いつつ朝の(長〜い)散歩の途中で公衆電話から電話 してみると「4時のフライトになるだろうから6時頃に電話が行くと思う」ってねあなた・・。でこのお兄さんに失礼 ながら(英語で話していながら)あなたは英語が話せますか(というか正確に理解し、分からないことは聞き返し てくださいよ)と英語で??(これをフランス語で言えれば矛盾はしないのだが、だったら英語の必要は・・・ない  か)確認したのち、あらためて自ら2Fの部屋に入ってみて本当に(この国で!)オートーロックで表札もない私の部屋 まで運んでくれるのだろうか??との疑念を振り払いつつ私「電話はしなくていいです、こちらから6時に電話し ます、部屋の番号は17番ですからかならずそのベルを鳴らしてください(というかそう配達する人に伝えてね  〜)」。
 そして電話で確認できた予定時間帯に(幸い故障してなかったがどうみてもニホンジン的には実用性にかける)玄関の インタフォンが落ちる音がして私「な、なんだ」「あこれは人がさんざんブザーを鳴らしたのでその勢いで壁からはずれ たのかな?それとも壁から落ちる音で知らせる仕組みですか?さるこじさん?(俺には関係ないだろうが)」とに かく配達がきたんだな(いや「もしかしたら来たのかもしれないがもういってしまったかも知れない」)、これが 偽物だったり押入強盗の手口だったりした場合はっと・・。
 いろいろな物を取り急ぎポケットに詰め、地上階におりるとお〜懐かしくも憎らしくもある黒いなじみのマイバッグが眼 に入る、お〜ということはこれは本物の配達員でしかない(あれ驚きのあまり日本語も変?)、それに体格のいい お兄さんはまるでニホンの宅配便のお兄さんのように笑みさえ浮かべているではないか。物を確認し、受け取りサインか な何だかそんなのをしてヤレヤレこれでもしかして半径50キロ圏内は自由自在に・・・。

最終章<終わった、・・のではなくようやく始められる・・・?>
 帰り際お兄さん「荷物に何らかの破損等あった場合は、48時間以内にこちらへクレームを・・・」なんて言っていた ようないないような。この国において、かような未確認トラブル処理に関し、英語までサービスで話して説明してく れるなんて・・・。フランスって実は親切ないい国だったんだ、なんて間違っても思ってはいけません。この告知 により弊社及び幣国は(それじゃ変か、この国では貴社及び貴国はって自分たちのことを呼ぶのかな?)それ以外 の一切いかなるクレーム即刻却下するべく候、この告知を全員にしなければ困るほどこういったこと(破損!?)が多 いのか、と深いため息をつきながら同時に気を取り直して闘志を燃やさなければいけません。
 「破損っ」てねまさかその、・・・これは衣類とか伸縮自在のものじゃなく、最も繊細で弱い変速機部分が収まり きれずにとりあえずビニール袋をかぶせただけの、一応まだ買って間もない・・・ドイツで・・・・中古だけ    ど・・・まだあんまり乗ってないのに・・。
 イヤな予感に、赤ワインの赤ら顔もニンニクたっぷりのパスタも(あれこれは関係ないか)目の前の海の波音も・・・、仕 方ないおそるおそる組み立ててみると・・・。曲がってます、ゆがんでます、悲しくなりました。それどころか空 気を入れてない状態で車輪が回らない・・・。これで完全に戦意喪失しかかるが・・・・。
 まてまて、どっちにしろ明日朝一番から走れるわけじゃないんだ。そうそう、日曜は店は休みだから、そうか無料 で重いMTBを配達してもらったわけだ・・・ふふふ。かように人間は事象を様々な角度から眺めることができるわ けで・・・。そう空気入れを借りないと走れないのです。
 まずは朝自転車屋に行くんだから、そこで(奇跡的に)ひょひょいのひょいと直してくれるかも(しれないではな いか・・・)。でももし(多分、きっと、間違いなく、絶対)直らないとしたら・・・・。踏んだり蹴ったり転が ったり?・・・とはこのことか。こうなったら仕方ない、話は簡単だ。「これを買った値段」+「この2日間の踏 んだり蹴ったり度合」−「夏の南ドイツの山々を走り回ったあの10日間」−「今回の貴重な教訓(フランス人には要 注意、じゃないでしょ)」=何ユーロ??あれ単位をそれないと計算ができないよ。お金で買えないもの(払えな いもの??)。全然話が簡単にならないので「購入時価格純損」ということで今夜は寝ましょう。

おまけ?
 翌日恐る恐る支度をし、MTBを転がし、自転車や聞き、探し当て、ちゃんと預かってもらえ、1時間後に恐る恐 る取りに行くと・・・・・。

終わり

冬のドイツ

11月とは言えもうドイツは冬。寒さがひとしきり身にしみます。
そんななか同じように寒くて震えている愛車3号さんもかわいそうだろう、ということで暖かいコートダジュールへ短期留学させる秘策を持っての訪独である。さて予定通りうまくいくのかどうか???
(続くかも)